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痤瘡(にきび)[私の治療]

No.5252 (2024年12月21日発行) P.49

赤松浩彦 (藤田医科大学医学部応用細胞再生医学講座教授)

赤松眞木 (野鳥の森皮フ科クリニック院長)

登録日: 2024-12-19

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  • 尋常性痤瘡は脂腺性毛包を侵す慢性炎症性疾患で,痤瘡の中で最も代表的な疾患であり,一般に痤瘡といえば「尋常性痤瘡」,すなわち「にきび」のことを指す。
    にきびは主として思春期に発症し,顔面,胸背部などの毛孔に一致して,炎症を伴わない皮疹である面皰,そして炎症を伴う皮疹である紅色丘疹,膿疱などの皮疹が混在して認められ,これらが慢性に経過する疾患である。膿疱より炎症がさらに皮膚深部へ進行していくと硬結となっていき,治癒後に瘢痕を残すことがあり,この瘢痕が容貌に敏感な思春期男女に対して想像以上の心理的ストレスを与えることがある。

    ▶診断のポイント

    痤瘡にはにきびのほか,新生児痤瘡,ステロイドなどの薬剤による痤瘡,集簇性痤瘡,酒皶性痤瘡など多くの疾患が含まれており,その原因もきわめて多岐にわたっている。そのため薬剤の使用歴なども含め,これまでの症状の経過をできるだけ詳しく問診する必要がある。にきびは主として思春期に発症し,顔面,胸背部などの毛孔に一致して面皰,紅色丘疹,膿疱などを認め,これらの皮疹が慢性に経過する疾患であるため診断は容易であり,鑑別するにあたり特に必要な検査はない。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    にきびは,にきび年齢にのみ生ずるいわば生理現象であり,皮疹は次々と出現し慢性に経過するが,にきび年齢を過ぎると自然に消退するものである。したがって,治療方針としては,皮疹が硬結へと進展しないように,すなわち治癒後に瘢痕を残さないように,皮疹をコントロールすることにある。

    日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」1)では,にきびの早期改善,再発抑制をめざし,にきびの治療方針を急性炎症期と維持期にわけている。急性炎症期とは,紅色丘疹,膿疱など炎症を伴う皮疹を主体とし,積極的な治療が求められる時期で,軽症,中等症,重症・最重症に分類される。維持期とは,炎症性皮疹はほとんど認めず,炎症を伴わない皮疹である面皰を主体とし,軽快した状態を維持するための治療を継続する時期である。急性炎症期をいかに早期改善し,維持期へ移行し,炎症の再燃を予防できるかが鍵となる。

    WEBコンテンツ「にきび治療〜治療法と治療薬」

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