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個々の病態に応じ判断する重要性が指摘 - 日本老年医学会シンポジウム「高齢者薬物治療ガイドライン」

No.4756 (2015年06月20日発行) P.10

登録日: 2015-06-20

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日本老年医学会が現在改訂中の『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015』をテーマにしたシンポジウムが14日に開かれた。同学会理事の秋下氏は、当初ガイドライン(GL)案に盛り込んでいた「ストップ」の表現は用いず、慎重な投与を要する薬剤リストと推奨される薬剤リストを合わせて、「高齢者の処方適正化スクリーニングツール」とすることを発表した。GLは7月下旬~8月に刊行予定だ。
シンポではGL案の各分野について注意すべき薬剤を解説。演者からはGLを参考に主治医が個々の病態に応じて判断する重要性も指摘された。

●SSRI、PPIの中止で質問も
不眠症、うつ病について解説した水上勝義氏(筑波大)は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬ともに高齢者には慎重に使用すべき薬剤と説明。三環系抗うつ薬、SSRIも慎重な投与が求められるとした。「SSRIで食欲が回復した患者でも投与の中止を検討すべきか」との質問には、「『SSRIは中止すべき』ではなく、リスクがある患者には慎重に投与すべきということ。食欲が亢進する他の薬に替えるのも1つの方法」と回答した。
GERDについて須藤紀子氏(関東中央病院)は、「高齢者の初期(8週まで)の第一選択はPPI」とした上で、「糖尿病患者などでは認知機能低下などのリスクがあるため、H2RAの使用は可能な限り控えるべき」と指摘。「老健では投与の背景がはっきりしないPPI服用者が多いが、PPIを減らす時にH2RAに移行することは可能か」との質問には、「そうした過程で短期間使うことは問題ない」と述べた。


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