10月にスタートする医療事故調査制度について日本病院会が18日、研修会を開催した。事故調のモデル事業を実施した日本医療安全調査機構の木村壮介氏は、機構が扱った234事例中、6事例が民事訴訟に至ったことを明らかにした。
木村氏は、法律家の助言により、報告書において「…するべきであった」との表現は十分留意したことを紹介したほか、報告書の内容に納得した上で訴訟を提起した遺族がいたことも明らかにした。
調査報告書の作成方法について講演した長尾能雅氏(名大)は、報告書作成の3原則として「事実は明確に」「分析は機械的に」「評価は丁寧に」と強調。名大では報告書を遺族に渡す規定があることを紹介し、「渡すことが前提なので、個人の非を追及していない。恣意的ではなく事実を書き起こしていれば、どこに持っていかれても仕方がない」と話した。その上で、「分析や事実関係が曖昧であれば、それに対して遺族が訴訟を起こすことはありうる。プロダクト(報告書の内容)にかかっているので、皆で学びながらやっていく必要がある」と指摘した。