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乳房再建の術式選択について

No.5290 (2025年09月13日発行) P.51

彦坂 信 (国立成育医療研究センター形成外科診療部長)

雑賀美帆 (岡山大学病院形成外科/ とくやままぶた・スキンクリニック副院長)

登録日: 2025-09-12

最終更新日: 2025-09-09

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  • 乳房再建の術式選択について,特に患者視点の評価に基づいてどのように選択されるのかご教示下さい。
    岡山大学病院・雑賀美帆先生にお願いします。

    【質問者】
    彦坂 信 国立成育医療研究センター形成外科診療部長


    【回答】

    【患者主観的評価は,患者が価値観やライフスタイルに合う術式を選択する一助になる】

    乳房再建の選択肢は複数ありますが,患者の病状や価値観,ライフスタイル等により最良の選択肢が異なります。また,乳癌の診断から手術までの限られた時間内に意思決定を行わなければならず,患者と医療者が協働して意思決定を行う共同意思決定(shared decision making:SDM)の実践が課題となっています1)

    従来,乳房再建のアウトカムは客観的な左右対称性や合併症などの医療者評価(clinician-reported outcome:ClinRO)によって評価されてきました。しかし,乳房再建は患者の生活の質(quality of life:QOL)を向上させるための術式であり,単に左右対称かどうかということ以外に乳房の柔らかさ,知覚,痛み,下着の着けやすさ,社会生活の中での心理面などへの影響を知る必要があります。そのため,患者主観的評価(patient-reported outcome:PRO)の有用性が高く,SDMにおける重要な要素であると言えます。

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