小誌連載「町医者で行こう!!」の筆者、長尾和宏氏(長尾クリニック院長)が代表理事を務める「抗認知症薬の適量処方を実現する会」が8日、設立会見を開いた。
会見で長尾氏は、認知症医療が抱える課題の1つとして、現在4種類が保険適用となっている抗認知症薬処方における事実上の「増量強制」を指摘。脳の神経伝達物質に作用する抗認知症薬は、「身長や体重、身体状況に加え薬剤への反応性に個人差があり、『さじ加減』が大切」と訴えた。
代表的な抗認知症薬として「ドネペジル塩酸塩」(一般名)を例に挙げ、「3mgから始め1~2週間後には5mg、4週間以上経過後、10mgに増量する」と説明した。添付文書には「症状により適宜減量する」とあるが、「5mg以下に減らすと保険外診療として診療報酬がカットされることが多い」と強調。「抗認知症薬は素晴らしい薬」とした上で、「だからこそ医師が適量を処方することができるよう改善を求めていく」と述べた。
添付文書改訂のハードルは高いことから、レセプト審査の改善などを中心に要望していく見通し。