株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

化血研インフルワクチンの出荷認める - 供給不足は回避 [感染症部会]

No.4775 (2015年10月31日発行) P.7

登録日: 2015-10-31

最終更新日: 2016-11-24

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

(概要) 厚労省は21日、化血研の季節性インフルエンザワクチン「インフルエンザHAワクチン “化血研”」に対する出荷自粛の要請を解除した。ワクチンの供給不足は回避される見通し。


今年6月、化学及血清療法研究所(化血研)の血液製剤が承認された方法と異なる方法で製造されていたことが判明。季節性インフルエンザワクチンについても承認された製造方法と実態に以前から相違点があったことが明らかになり、厚生労働省は9月18日付で出荷の自粛を要請した。
2015年度に出荷予定の季節性インフルエンザワクチン約3000万本のうち、化血研製品のシェアは29%。化血研のワクチンが出荷されなかった場合は11月下旬に供給不足となることが予測された。
事態を受けて21日に開かれた厚労省の感染症部会は「製造方法の違いがワクチンの品質や安全性に重大な影響を及ぼす可能性は低い」とする専門家の見解や、ワクチンが既に国家検定に合格していることを踏まえ、インフルエンザの発生予防とまん延防止の観点から「出荷を認めるべき」との意見で一致。厚労省は同日、出荷自粛の要請を解除した。
製造方法の違いのうち、製品への影響が懸念されたのは(1)不活化に用いるホルマリンの濃度、(2)原材料である鶏卵の細菌感染の有無を確認する方法、(3)無菌試験法の手法─の3点。いずれも詳細な確認の結果、品質や安全性に重大な影響はないと判断された。

●ポリオワクチンなども速やかに調査
感染症部会では、季節性インフルエンザワクチン以外にも他社製品での代替が困難な化血研製剤について、公衆衛生対策上の必要性が高いワクチンと危機管理上必要性の高い製剤に分けて検討(別掲)。
前者はポリオワクチン、B型肝炎ワクチン、日本脳炎ワクチン、A型肝炎ワクチンの4つ。今後、供給不足が見込まれることから、速やかに確認調査を行うとした。後者は新型インフルエンザなど現在国内で未発生の感染症や、ボツリヌス症など患者数は少ないが生命や健康に重篤な影響を及ぼす感染症に用いるもので、これらの疾患の発生時には緊急使用や出荷を認めるべきとの方針をまとめた。


関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top