株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

マンモに超音波併用でがん発見率が上昇 - 東北大J-START試験

No.4777 (2015年11月14日発行) P.9

登録日: 2015-11-14

最終更新日: 2016-11-24

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

東北大の大内憲明教授(腫瘍外科学)らの研究チームは4日、乳がん検診でマンモグラフィーに超音波検査を加えることで、がん発見率がマンモ単独より有意に高くなったとの調査結果を発表した。成果は5日、『Lancet』誌(電子版)に掲載された。
この調査は「J-START」と呼ばれるランダム化比較試験(RCT)。超音波検査を用いたRCTは世界初。
調査は2007~11年に実施。全国の40代女性7万6196人を、マンモ単独の対照群と超音波併用の介入群に割り振り、初回とその2年後の検診データから、感度、特異度、がん発見率などを評価した。

●早期乳がんの発見に寄与
その結果、介入群では感度が91.1%と対照群(77.
0%)より有意に上昇。がん発見率は、対照群0.33%に対し介入群は0.50%と約1.5倍高かった。がん発見数は、ステージⅡ以上では両群に差はなかったが、ステージ0、Ⅰでは介入群で上昇が認められた。
一方、介入群では要精検率(12.6%)が対照群(8.8
%)を上回り、針生検等の侵襲性のある追加検査の施行が多くなるなど、検診の不利益も増加した。
会見で大内氏は、「超音波検査が早期乳がん発見に寄与する可能性が示された」と強調。その上で「超音波の不利益を減らす方法を模索し、死亡率減少効果などの検証を続けたい」と述べた。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top