日本医師会と日本獣医師会は6日、越境性感染症をテーマに連携シンポジウムを開いた。
シンポでは、2013年に国内初症例が報告され、西日本で感染拡大が続いているダニ媒介性感染症、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を巡り、医師と獣医師が講演した。
西條政幸氏(国立感染症研究所ウイルス第一部部長)は、「エボラ出血熱の流行は遠い国の出来事ではない。国内にもSFTSという致死率25%の感染症が存在する以上、医療従事者は罹患リスクに備える必要がある」と強調。臨床上の注意として、「特異的な症状はないが、同じダニ媒介性の日本紅斑熱やリケッチアと異なり、白血球数が2000~1000/μL以下まで極端に減るのが特徴だ」と述べた。
国内で初めてSFTSウイルスを分離した前田健氏(山口大共同獣医学部教授)は、アライグマ等の野生動物の間で流行が発生していることや、飼育犬がウイルスに感染したダニを人家に運び込む恐れを指摘。「人への感染が西日本からじわじわ拡大する可能性は高い」と注意を促した。