世界保健機関(WHO)の「ワクチンの安全性に関する諮問委員会」(GACVS)は12月17日、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の安全性を示す声明を発表した。接種勧奨を中断している日本の政策判断に懸念を示している。
声明では、フランスで行われた、HPVワクチン接種後の自己免疫疾患に関する大規模追跡調査の結果を紹介。接種後3カ月以内ではギラン・バレー症候群を除く全症状でリスク増加は認められず、ギラン・バレー症候群のリスクも極めて小さかったと説明している。
複合性局所疼痛症候群(CRPS)や体位性起立性頻拍症候群(PO
TS)については、診断が難しい上に病態像も十分定義されておらず、ワクチンとの関連性を示すエビデンスはないとしている。
その上で、日本の国内状況について「国の専門委員会が臨床データに基づき、ワクチンと慢性疼痛などの症状に因果関係はないと結論したのに接種勧奨の再開に至っていない」と言及。「弱いエビデンスに基づく政策判断が安全で有効なワクチンの不使用につながり、真の被害を生む」と警告している。