【概要】日本脳卒中協会や日本心臓病財団など循環器関連の15学術団体や3患者団体などで構成される「脳卒中・循環器病対策基本法の成立を求める会」(代表=山口武典日本脳卒中協会理事長)が11日、参議院議員会館で与野党の国会議員に対し、基本法の早期成立を求めた。
同法案は現在、議員立法として検討されており、循環器病対策を総合的かつ計画的に推進する方針が盛り込まれている(表)。14年4月に「脳卒中対策基本法」が議員立法で国会に提出されていたが、同年11月の衆議院解散で廃案となった経緯があり、その後、循環器病全体を包含した基本法の検討が行われてきた。
■山口代表「国策によって発症・死亡数減少が可能」
同日の会合で「求める会」の山口代表(写真左から3人目)は、心臓病・脳卒中による死亡数、医療費はがんに匹敵することを指摘。基本法がないと解決困難な問題として、(1)脳卒中・心臓病予防のための継続的・全国的な市民啓発、(2)超急性期脳梗塞・心筋梗塞に対する再灌流療法の普及、(3)地域医療の質を客観的に評価する体制の構築─を列挙。その上で、脳卒中・心臓病に対する国策によって発症・死亡の減少、後遺症の軽減、健康寿命の延伸、医療費・介護費の節約が実現できるとし、「何卒ご理解を」と訴えた。
日本心不全学会の磯部光章理事長(写真左端)も「社会の枠組みを再整備することで脳卒中・循環器病の予防、健康寿命の延伸、生活の質の改善が可能」と強調。一次予防(学校教育、国民啓発)、二次予防(健診、救急医療体制)、三次予防(リハビリ、在宅医療、介護、社会支援)により医療費の削減が可能であることを指摘し、「法制定による国、自治体の支援を願う」と要望した。
■尾辻参院議員「今国会は困難だが厚労省に味方つくる」
会合の事務局長を務めた石井みどり参院議員(自民、写真右端)は「現在、各会派への説明に汗をかいているところ。今国会での成立の突破口にするために会合を企画した」と述べ、成立に意欲を表明。一方、元厚労相で会合の呼びかけ人代表の尾辻秀久参院議員(自民、写真右から3人目)は、日程的に今国会での成立は困難との見通しを示しつつも、「基本法成立には厚労省の中に味方になる専門家が必要」と述べ、早期成立に向けて厚労省と調整する考えを示した。