【今年の「世界禁煙デー」(5月31日)のテーマは、たばこの販売規制を促進する「プレーンパッケージを目指そう」。日本の広告規制には「不十分」との批判も多いが、約半数の喫煙者が画像付き警告表示の導入に賛成していることが判明するなど、規制強化に対する理解も示されつつある。】
国立がん研究センター(国がん)は30日、今年4月に実施した、たばこの警告表示に関するインターネット調査の結果を公表した。
同調査には、喫煙者、非喫煙者それぞれ1000人が回答。それによると、図のような画像付き警告表示の導入に「強く賛成」または「賛成」と回答した人の割合は、成人全体の70%を占め、喫煙者でもほぼ半数近い46%に上った。
●国がん「受け入れられやすい画像の選択を」
また、文字のみの警告表示3種類と画像付きの警告表示2種類を提示し、最も読まれやすいと思う表示を尋ねたところ、喫煙者、非喫煙者ともに画像付きを選ぶ人が最も多かった。
日本におけるたばこの広告規制を巡っては、しばしば表のような問題点が指摘されているが、一定の規制強化には「国民の支持も高い」(国がん)状況となりつつあるようだ。これを踏まえ国がんは、警告表示面積の拡大や画像付き警告表示の「速やかな導入が重要」とする一方で、画像付き警告表示の導入を検討する際には、海外のような“露骨”なイメージではなく、不快感の少ないイラストやイメージを選択するなど、「国民に受け入れられやすい画像」の調査が必要としている。
●「他施策との組み合わせでさらに有効性発揮」
31日にたばこと健康問題NGO協議会などが都内で開いたイベントでも、画像付き警告表示がテーマの1つに据えられ、中村正和氏(地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター長)が講演した。
講演で中村氏は、日本で求められる新たな規制として、(1)面積を50%以上とする、(2)短く明確な警告文を大きな文字で記載する、(3)画像付き警告表示を早急に導入する、(4)タール、ニコチン等の排出量の表示を禁止し、代わりに有害成分の種類を表示する─などの必要性を訴えた。
中村氏は、画像付き警告表示の導入による費用対効果にも言及。「導入後1年以上経過してもたばこ消費や喫煙率の減少効果が続いた国もあり、費用対効果はたばこ税の引上げと並んで高い。しかし、効果を最大限高めるには、禁煙相談、治療支援など、他の施策との組み合わせが重要だ」と強調した。
【記者の眼】
4月の診療報酬改定では、35歳未満の禁煙治療の保険適用条件が緩和されたが、ファイザー社の調査によると、喫煙習慣のある新入社員・職員の間での認知度は26%程度だ。警告表示との「組み合わせ」効果を高めるには、禁煙支援制度の啓発も一層の強化が必要だ。(F)