厚労省は9日、昨年10月からスタートした医療事故調査制度の改正省令案を公表した。15日までの意見募集を踏まえ、今月下旬に省令を施行する予定。
省令案では、全国の医療事故調査等支援団体(支援団体)が、支援状況の情報共有や意見交換を行う「協議会」を共同で組織することができるとした。協議会は、(1)医療機関の管理者が行う医療事故の報告および調査や、支援団体が行う支援の研修の実施、(2)管理者に対する支援団体の紹介─を行うとする。
さらに、医療機関の管理者が適切に医療事故を報告するため、医療機関における死亡・死産を確実に把握するための体制を管理者が確保することを明確化するとしている。
改正省令案は先月、自民党の作業部会がまとめた提言に基づくもの。事故調の制度創設を規定した改正医療法では、法律の公布後2年以内に事故調のあり方などについて検討を加え、必要な措置を講ずるとの附則が設けられていた。その期限が今年6月24日となっている。
厚労省は9日の社会保障審議会医療部会に自民党の提言を報告。これに対し、複数の委員が同部会で見直しの議論が行われなかったことに疑問を呈したが、厚労省は「(見直しの)期限が迫っている」と述べ、理解を求めた。
【記者の眼】
通常1カ月の期間が設けられる意見募集も、見直しの期限が迫っていることから今回は7日間のみ。しかも自民党作業部会の議論は非公開の場で行われた。制度の担い手である現場の医療機関を置き去りにしたまま改正省令案が出来上がった感が否めず、制度改正の手続きに疑問が残る。(N)