【Q】
経カテーテル大動脈弁置換術の実施施設がわが国でも徐々に増加しています。しかし,実施にあたっての施設基準(高額な医療機器や多職種の連携が必要である)などの問題から実施できる施設は限られます。一方でバルーンによる大動脈弁拡張術が見直され,特にイノウエ・バルーンを用いた順行性大動脈弁バルーン拡張術は,「内科的カテーテル手技」として価値があるように思います。経カテーテル大動脈弁置換術時代における経カテーテル大動脈弁バルーン拡張術の実際と,今後の展望について,徳島赤十字病院・細川 忍先生のご教示をお願いします。【A】
重症大動脈弁狭窄症に対するバルーン形成術(balloon aortic valvuloplasty:B AV)は1990年代に欧米で多くの症例に施行され,1.6~9.4%の術中死亡率,25~31%の手技中主要合併症発生率,1年生存率約70%以下,2年生存率50%以下と惨憺たる結果でした。この後,BAVの件数は急速に減少しました。しかしその後,経皮的大動脈弁置換術が行われるようになり,術前処置として再度注目されています。