【Q】
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)による骨髄炎の治療期間については,ガイドライン上でも明確には示されていません。ケースバイケースではあるとは思いますが,MRSAの骨髄炎を,何をメルクマールに,どれくらいの期間治療されていますでしょうか。また,近年リネゾリドやダプトマイシンなどの新規抗菌薬も使用できるようになりましたが,従来のグリコペプチド系抗菌薬との使いわけはどのようにされていますか。JCHO東京高輪病院・渋江 寧先生のご教示をお願いします。【A】
骨髄炎を診断する際に,数日から数週間かけて発症する急性骨髄炎と,数カ月から数年かけて発症し,時に腐骨や瘻孔の形成を伴って発症する慢性骨髄炎にわけて考えることが一般的です。また,発生機序として,菌血症の結果として起こる血行性播種による骨髄炎か,外傷や手術時のコンタミネーション,皮膚軟部組織感染症からの波及などによる接触性骨髄炎かを区別することで,カテーテル関連血流感染症のように単一起炎菌の可能性が高いか,糖尿病足壊疽や褥瘡感染のように嫌気性菌などの混合感染の可能性が高いかを判断します。