【Q】
新しい作用機序を持つインクレチン関連薬のDPP-4(dipeptidyl peptidase-4)阻害薬,GLP-1(glucagon-like peptide-1)受容体作動薬が登場し,近年,糖尿病の日常診療で汎用されるようになってきました。それは,これらの薬剤が比較的安全性を有しているとともに,一定の効果を期待することができることによると思われます。【A】
まず確認したいのは,糖尿病治療薬が心血管疾患などの大血管障害を減少させたことを証明した臨床試験はきわめて少ないということです。さらに,単剤での予後改善効果を,プライマリーエンドポイントで示したランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)はいまだにありません。このことは,スタチンや降圧薬とは対照的に,血糖を管理することが心血管疾患発症予防になるのか,という根本的な疑問が解決されていないことを物語っています。