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手などで触ることでプラークの 破綻を誘発する可能性

No.4725 (2014年11月15日発行) P.59

豊田 茂 (獨協医科大学心臓・血管内科准教授)

井上晃男 (獨協医科大学心臓・血管内科教授)

登録日: 2014-11-15

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

総頸動脈分岐など比較的浅い部位にプラークが存在する場合,手などで触ることでプラークの破綻を誘発する可能性はないか。また,血栓が剥離する可能性はないか。 (宮城県 O)

【A】

破綻をきたしやすい不安定プラークは脂質含有量が多く,線維性被膜が薄く,炎症性細胞の浸潤が強いという性質がある(文献1)。頸動脈での不安定プラークにはさらに可動性プラークがあり,脳卒中発症と関連があるとされている(文献2)。このような可動性プラークが存在する頸動脈を強く圧迫すれば,可動性プラークがはがれて脳卒中を引き起こす可能性はある。血栓が存在する場合でも同様である。実際に頸動脈の用手圧迫により脳卒中を引き起こした症例が報告されている(文献3)。
高齢者,動脈硬化のリスクが高い症例,頸動脈雑音を聴取する症例,脳卒中の既往のある症例では頸動脈の注意深い触診が必要である。頸動脈の触診に際しては,まず触診の前に頸動脈を聴診し雑音の有無を確認することが必要である。また不安定プラーク存在の有無は頸動脈エコーでの検出が簡便で優れており,必要に応じて頸動脈の動脈硬化状態をチェックすることが重要である。

【文献】


1) 井上晃男, 他:The Lipid. 2014;25(2):129-37.
2) Ogata T, et al:Cerebrovasc Dis. 2010;30(6): 606-11.
3) Khaffaf N, et al:Stroke. 1994;25(5):1056-7.

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