【Q】
アルコールの心機能への直接・間接的作用について。また,慢性心不全には完全な禁酒が必要か。 (富山県 S)【A】
基本的に適度なアルコールは心筋毒性を示さない。たとえば,マウスやラットに強制飲酒を試みても,病理学上大きな心臓・血管異常は発生しない。それはアルコール性心疾患の良い実験モデルがつくられていないことで歴史的に証明されている。通常の動物は個体に害が発生する前に飲酒行動をやめてしまう。したがって,アルコールによる心臓・血管障害は嗜好習慣を強く持つ霊長類特有の疾病と言える。▼ 竹端 均, 和泉 徹:Medical Technology. 2009;37 (10):1067-72.