株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

NOACの使いわけ

No.4735 (2015年01月24日発行) P.59

池田隆徳 (東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野教授/東邦大学医療センター大森病院循環器 センター長)

登録日: 2015-01-24

最終更新日: 2016-10-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【Q】

NOAC(新規経口抗凝固薬)は現在,4剤発売されているが,これらの使いわけについて。東邦大学医療センター大森病院・池田隆徳先生に。 (東京都 S)

【A】

2011年3月にNOAC(新規経口抗凝固薬または非ビタミンK拮抗型経口抗凝固薬の略称)の先陣を切ってダビガトランが発売され,ついでリバーロキサバン,アピキサバン,そして2014年9月に最後のエドキサバンが発売され,これで4剤のNOACを診療で使用することが可能となった。
これらのNOACは,いずれも臨床試験でワルファリンと同等以上の有効性と安全性を示している。最近の話題の中心は,NOACをどう使いわけたらよいかということになってきた。
正直なところ,どのNOACを使用しても,虚血性脳卒中の発現率と頭蓋内出血の合併率においては大きな差はないと言える。ただ,個々のNOACで微妙に薬剤の特徴が異なるので,この点について解説する。
まず,禁忌症例について述べる。どのNOACも腎不全患者には投与できないが,その基準値が異なる。ダビガトランでは,クレアチニンクリアランス(CCr)<30mL/分,リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンではCCr<15mL/分で禁忌となる。
次に,投与回数について述べるが,リバーロキサバンとエドキサバンは1日に1回,ダビガトランとアピキサバンは1日に2回の投与である。1日に1回のほうが便利であるが,1日量を1度に服用するため,大出血の出現頻度には差はないものの,歯肉出血や皮下出血などの小出血がやや増える傾向にある。
剤形については,ダビガトランはカプセル剤,リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンは錠剤であるため,患者の好みに応じて使いわければよい。カプセル剤の場合は,基剤に酒石酸を含むため,服用後に胃部不快感をきたすことがある。そのため,コップ1杯の水と一緒に服用することを勧める。
抗凝固療法を専門としない医師には,上記のような本来の薬剤の特徴とは別に,下記のような使いわけを覚えていただきたい。筆者はリスクのある患者に対してNOACを積極的に使用することを勧めている。
・有効性を重視するなら→ダビガトラン(通常量)
・安全性を重視するなら→アピキサバン
・服用しやすさを重視するなら→リバーロキサバン
・国産の薬を好むなら→エドキサバン
ここで強調したいのは,どのNOACを選択したとしても,ワルファリンを用いた抗凝固療法よりも効果を発揮できるということである。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top