【Q】
最近,日本アレルギー学会が血中食物抗原特異的IgG抗体検査を食物アレルギーの原因食品の診断法として推奨しない旨の見解を出しました。これと抗原特異的IgE抗体検査(RAST)は異なるものですか。 (青森県 N)【A】
食物に対する抗原特異的IgG抗体産生は「正常の」免疫反応であり,食物アレルギーとは無関係に健常者にも存在するため,わが国だけでなく,米国や欧州のアレルギー学会でも,診断法としては公式に否定されています。しかし,測定すれば何らかの陽性反応が出ることより,食物アレルギーだけでなく自閉症など根治療法がない様々な疾患に悩む患者を相手に当該検査を行い,根拠なく食事療法を推奨して標準的治療から遠ざけている実態があるので,学会としても注意を喚起したという経緯があります。
▼ Stapel SO, et al:Allergy. 2008;63(7):793-6.
▼ Bock SA, et al:J Allergy Clin Immunol. 2010;125(6):1410.
▼ 日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会:食物アレルギー診療ガイドライン2012. 協和企画, 2011.