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半固定法の利点は?【色調を保ち微細な粘膜模様をとらえるため,早期病変にも有用】

No.4778 (2015年11月21日発行) P.60

濱田 円 (関西医科大学附属枚方病院消化管外科教授)

登録日: 2015-11-21

最終更新日: 2016-10-25

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【Q】

消化管切除標本について,表在病変の微細観察には半固定状態がよいと言われています。半固定法は,ほかの固定法とどのように違うのでしょうか。 (岡山県 H)

【A】

手術で摘出された病理組織標本は,10~20%緩衝ホルマリン液に24時間以上浸漬することで固定されます。
半固定法は,ホルマリン浸漬開始後10~30分程度経過した標本では比較的発赤などの色調を保つことができ,新鮮材料よりも粘膜模様の変化や病変部のわずかな凹凸をとらえやすくなることから多用されてきた方法です。
本法は,消化管二重造影法や消化管内視鏡により発見された,特に早期の病変に対して,切除検体の肉眼所見と検査所見との整合性を図るために有用と考えられています。しかし,半固定法の歴史は,筆者らが調べうる限り論文上に明確な記載はありません。病理学者からの提案というよりは,主に臨床で消化管早期病変を診断してきた放射線科,内科,外科の医師主導で多用されてきたようです。
半固定法の適正なホルマリン濃度や浸漬時間についてエビデンスと言える研究もないようです。

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