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フラクタルカイン(CX3CL1)と関節リウマチ(RA) 【CX3CL1がRAの治療標的分子として注目】

No.4823 (2016年10月01日発行) P.57

南木敏宏 (東邦大学内科学膠原病学准教授)

登録日: 2016-10-04

最終更新日: 2016-10-06

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ケモカインは細胞遊走を誘導するサイトカイン様分子であり,炎症性疾患においては,炎症局所への細胞浸潤に関与すると考えられている。そのため,ケモカイン阻害が炎症性疾患の新規治療となる可能性があり,広く研究が進められている。CX3Cケモカインであるフラクタルカイン(CX3CL1)は,可溶型に加えて,細胞膜上に表出する膜型としても存在する特異なケモカインである。そのため,細胞遊走作用とともに接着分子としての働きも併せ持つ。

関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)においては,罹患関節滑膜の線維芽細胞様滑膜細胞,血管内皮細胞などにCX3CL1が発現している1)。また,その受容体(CX3CR1)は単球/マクロファージや一部のT細胞に発現しており,それらの細胞遊走に関与すると推測されている。CX3CL1には血管新生作用,滑膜細胞やT細胞などへの刺激作用もあり,さらに破骨細胞の前駆細胞の遊走にも関与する。そのため,CX3CL1はRAの病態に深く関与していると考えられ,治療標的分子となることが期待される。実際,関節炎モデルマウスにおいて,抗CX3CL1抗体の投与により関節炎が抑制された2)
現在,RAに対する抗CX3CL1抗体による臨床試験が行われており,その結果が待たれる。

【文献】

1) Nanki T, et al:Arthritis Rheum. 2002;46(11): 2878-83.

2) Nanki T, et al:J Immunol. 2004;173(11):7010-6.

【解説】

南木敏宏 東邦大学内科学膠原病学准教授

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