株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

勃起障害に対するPDE5阻害薬の選択

No.4693 (2014年04月05日発行) P.64

田井俊宏 (東邦大学大森病院リプロダクションセンター)

登録日: 2014-04-05

最終更新日: 2016-10-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【Q】

勃起障害の患者さんにホスホジエステラーゼ5阻害薬(phosphodiesterase type 5 inhibitor;PDE5I)を使用する際,シルデナフィル(バイアグラR),バルデナフィル(レビトラR),タダラフィル(シアリスR)の3種類中どれを用いるか悩むことがあります。東邦大学・田井俊宏先生はどのように治療薬を選択されますか。排尿障害にも効果ありとする報告がありますが,その点も併せて。
【質問】
小堀善友:獨協医科大学越谷病院泌尿器科

【A】

現在,勃起障害(erectile dysfunction;ED)に対してPDE5Iが主に用いられています。PDE5Iはバイアグラ25mg・50mg,レビトラ5mg・10mg・20mg,シアリス5mg・10mg・20mgが日本で承認され発売され,医師の診察のもとに購入できます。
バイアグラ50mgに対し,レビトラ10mg,シアリス10mgが同等の効果があるとされています。効果時間はバイアグラ,レビトラが内服1時間後から4時間程度,シアリスが内服1時間後から4時間に強い効果があり,その後36時間継続します。副作用はほてり,頭痛などが10~20%で発生します。
性交渉の直前に内服しても十分な効果は期待できないので,前もって内服する必要があります。薬の選択は性交渉のタイミングが読める人にはバイアグラ,レビトラ,タイミングが読みにくい人にはシアリスを処方しています。悩まれる人には3剤を数錠ずつ処方することもあります。
初回処方の力価としてはバイアグラ50mgまたはレビトラ10mgかシアリス10mgを処方し,副作用があれば減量,効果が弱ければレビトラ20mgかシアリス20mgを勧めます。
性機能外来には,これらの薬が「効果がない」と訴え受診する患者さんが多数いますが,話を聞くと1度しか内服していない人がかなりいます。4~8回使用して,効果を検討することが必要です。
禁忌は硝酸薬,NO供与薬を投与中の患者さんとなります。レビトラはチトクロームP450 3A4(CYP3A4)を強く阻害する薬剤,クラスⅠAまたはクラスⅢの抗不整脈薬も併用禁忌としています。禁忌の既往歴は,心筋梗塞(6カ月以内),低血圧(90/50mmHg以下),高血圧(170/100mmHg以上),脳梗塞・脳出血(6カ月以内),重度の肝障害(肝硬変),網膜色素変性症(進行性の夜盲)などがあります。心筋梗塞患者には使用できないというイメージはありますが,最終発作からある程度の時間がたっており,硝酸薬を使用していなければPDE5Iを使用できるケースもあるため,既往歴・内服薬などの詳しい聴取が重要です。
現在シアリスとして処方されているタダラフィルが,2014年1月に前立腺肥大症に伴う排尿障害にザルティアRという販売名で承認されました。排尿障害の1つの機序として,加齢に伴いNOの産生が低下することから,排尿の際に尿道・前立腺・膀胱頸部平滑筋の弛緩が不十分になり,また,動脈硬化により下部尿路組織への血流障害が起こるためと考えられています。低用量のPDE5Iが,血管拡張により血流を改善し,下部尿路の平滑筋弛緩により尿道抵抗を低下させることで排尿機能を改善すると報告されています。
今後,α遮断薬,5α-reductaseとの併用効果の検討も進むことでしょう。排尿障害の新たな一手として効果が期待できる薬剤と考えます。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top