【Q】
角膜混濁に対する治療として角膜移植がありますが,術式は全層角膜移植(penetrating keratoplasty:PKP)が一般的です。しかし,状況によって全層でなく,部分的に移植する術式が可能とのことです。逆に部分的な移植が可能な疾患でも,PKPが適応になる場合もあるようです。北海道大学・大口剛司先生は様々な角膜疾患の病態に応じて,どの術式を選択されていますか。【A】
角膜は上皮,ボウマン膜,実質,デスメ膜,内皮の5層からなる組織です。以前はこの5層すべてを移植するPKPが主流でしたが,術後眼球強度が低下することや拒絶反応などが問題点でした。近年,「角膜パーツ移植」という概念が広がり,角膜の悪い部分だけを移植することが可能となっています。たとえば角膜表層に混濁があり視力低下をきたしているケースでは,角膜を半層程度切除し,同様に移植角膜片を半層切除し移植したり,角膜内皮に問題があるケースでは内皮だけを移植するという方法です。