今年5月から7月、韓国で中東呼吸器症候群(MERS)が流行したが、昨年から今年にかけてだけでも、図のように、さまざまな新興・再興感染症が各地で問題になっている。現時点で特に注意したいのが、MERS、エボラ出血熱、蚊を媒介としたデング熱、チクングニア熱などだ。エボラ出血熱に関してはマスコミ報道が減ったものの、いつ日本に入ってきてもおかしくない状況に変わりはない。
韓国でのMERS流行時にも、「水際作戦」という軍事用語が使われ、検疫体制の強化が図られた。日本は島国なので、空港や港湾で輸入感染症の患者をすべてチェックできると考える人もいるかもしれないが、感染者を1人残らず検疫所で隔離するのは不可能だ。自宅やホテルへ帰ってから症状が出て一般医療機関を受診することもあるので、主な検疫感染症(表1)の流行地、潜伏期間、主な症状(表2)は把握しておいたほうがよいだろう。各国でどのような感染症が流行しているかは、厚生労働省検疫所のホームページ(http://www.forth.go.jp/)が参考になる。
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