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リンパ浮腫の還流機能評価法としてのICG蛍光検査法

No.4719 (2014年10月04日発行) P.56

光嶋勲 (東京大学形成外科教授)

登録日: 2014-10-04

最終更新日: 2016-10-26

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リンパ管の機能は,集合リンパ管の中膜の平滑筋細胞が収縮することによってリンパ液を還流させることがわかっている。最近,四肢のリンパ浮腫においては,この平滑筋細胞が変性するために還流障害が起こることが判明した。しかし,その障害の程度を評価する方法は,これまでは間接的な評価法であるシンチグラムなどであった。
インドシアニングリーン(ICG)を四肢の末梢趾指皮下に注射した後に赤外線を照射すると,ICGの発する蛍光色素がリンパ管内を還流するのが肉眼で容易に観察できる(文献1)。正常人の下肢では5~10分程度で鼠径リンパ節まで達する。軽度のリンパ浮腫の患者では20分程度と延長している。浮腫の重症度に応じてそのスピードが遅くなり,重度浮腫例では皮膚でのうっ滞がみられる。
このICGの還流パターンによって,リンパ管平滑筋細胞の障害の程度が判定できるようになった。この検査法はわが国から発信され,急速に全世界に広まった(文献2)。この方法によってリンパ浮腫のリンパ管機能不全の重症度が判明するとともに早期の浮腫診断が可能になった。また,リンパ管静脈吻合に必要なリンパ管の同定が容易となり,リンパ管静脈吻合術が世界中で急速に進歩しつつある。

【文献】


1) Ogata F, et al:Ann Plast Surg. 2007;58(6):652 -5.
2) Yamamoto T, et al:Plast Reconstr Surg. 2011; 127(5):1979-86.

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