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肺炎マイコプラズマ感染症の迅速診断法

No.4723 (2014年11月01日発行) P.50

宮崎泰可 (長崎大学第二内科講師)

河野 茂 (長崎大学第二内科教授)

登録日: 2014-11-01

最終更新日: 2016-10-26

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肺炎マイコプラズマ感染症は咽頭炎や気管支炎,肺炎などを呈し,ここ数年全国的な流行が話題となっている。βラクタム系薬が無効で,小児を中心にマクロライド耐性化も進んでいるため,抗菌薬選択の上で迅速診断法の有用性は高い。
PPLO培地などを必要とする培養検査は一般的には行われておらず,血清中の抗体価は上昇するまで時間を要するため,いずれも急性期の診断には適さない。簡易EIA法による血清または血漿中の肺炎マイコプラズマ特異IgM抗体測定キットは偽陽性や偽陰性が多い。そこで遺伝子学的検査法としてPCR法やLAMP法が開発された。特にLAMP法は感度・特異度が高く2011年から保険適用されているが,検査の所要時間が約2.5時間と比較的長く,専用機器を必要とし,あまり普及していない。
一方,2013年にプライムチェックRとリボテストRの2種類の迅速抗原診断キットが発売された。いずれも咽頭ぬぐい液を検体とし,前者は気道繊毛上皮細胞への付着に関与しているP1蛋白を,後者はリボソーム蛋白L7/L12をイムノクロマト法で検出する。唾液が混入すると判定が困難になる場合があるため,特に小児では採取法に注意を要する。プライムチェックはPCR法との比較で感度,特異度ともに90%以上の高い陽性率を示している(文献1)。一方,リボテストは感度約60%, 特異度約90%で,感度にやや改善の余地が残されているが,使用するモノクローナル抗体や検体の選択で感度が高まる可能性がある。今後,両キットの直接比較を含め,詳細な検討が必要である。

【文献】


1) 石和田稔彦:感染症. 2014;44(3):7-8.

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