関節リウマチ(RA)の外科的治療は,生物学的製剤の登場による内科治療の進歩に伴い,大きな変貌を遂げた。従来の治療薬では成しえなかった疾患活動性のコントロールが可能となり,手足の小関節における関節破壊を抑制するだけでなく,破壊された関節の再生をも惹起する可能性が示唆されている(文献1)。それゆえRAの外科的治療法も,従来の炎症や疼痛コントロールのみならず,関節機能をなるべく温存した治療法が一般化しつつある。
特にRA前足部変形は近年,その診断的意義と治療法が大きく変革した分野である。RA患者における前足部病変は,初期病変としての頻度が高く診断的意義の高いことが報告されているが(文献2),現在,外来診療で一般的に用いられているRAの活動性を評価するDAS28では,足趾関節は評価項目には含まれていない。このことは,RAの治療開始時期を遅らせ,誤った治療効果の判定を行う可能性があり,今後の課題と言える。
近年,RA前足部変形に対して関節温存術が試みられており,良好な臨床成績が報告されている(文献3)。薬剤コントロールにより疾患活動性が十分に抑えられることが前提ではあるが,RA患者においても,生活の質の向上をめざせる治療法である。しかしながら関節温存術は,疾患活動性の評価基準や残存関節機能の評価法など,今後も解決すべき問題が山積している。今後のRAに対する関節温存術は,評価法や薬物治療と並行しながら進歩していくことが予想される。
1) Ikari K, et al:N Engl J Med. 2005;353(15):e13.
2) Bakker MF, et al:Ann Rheum Dis. 2012;71(6): 830-5.
3) Niki H, et al:J Bone Joint Surg Br. 2010;92 (3):380-6.