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特発性血小板減少性紫斑病とリツキシマブ

No.4737 (2015年02月07日発行) P.51

田岡和城 (東京大学血液・腫瘍内科)

黒川峰夫 (東京大学血液・腫瘍内科教授)

登録日: 2015-02-07

最終更新日: 2016-10-26

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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は,主として自己抗体による血小板の破壊亢進により,血小板減少をきたす自己免疫疾患である。
わが国では,初発例に対する治療としては副腎皮質ステロイドの投与を,再発例に対しては脾摘を行うことが一般的である。Helicobacter pylori(Hp)陽性例では,Hp除菌により血小板数が回復する症例があり,初発例でも積極的にHp除菌を行う傾向にある。また,再発・難治性ITPの約80%にトロンボポエチン受容体作動薬(TRA)が有効であることが示され,わが国でもロミプロスチム,エルトロンボパグの2種類が2010年に保険適用された。
抗CD20抗体薬リツキシマブは,抗体産生細胞に対して作用し,自己抗体の産生抑制を介してITPによる血小板減少を改善するとされる。再発・難治性ITPに対してリツキシマブを投与した海外の臨床試験では,40~70%で投与後早期に血小板数の回復が得られた(文献1)。さらに,20~40%の症例で血小板数回復が長期間持続した。欧米では,リツキシマブは脾摘と並ぶセカンドラインの治療として位置づけられており,脾摘を回避する目的でリツキシマブを投与する場合も少なくない。
近年になり,わが国でも再発・難治性ITP症例を対象としたリツキシマブの臨床試験が進められており,保険承認をめざしている。リツキシマブをどの段階で使用するかの検討を要するが,今後有効な治療の選択肢となることが期待される。

【文献】


1) Godeau B, et al:Blood. 2008;112(4):999-1004.

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