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脳梗塞における抗血小板療法: 求められる使いわけ

No.4748 (2015年04月25日発行) P.55

古和久典 (鳥取大学脳神経内科准教授)

中島健二 (鳥取大学脳神経内科教授)

登録日: 2015-04-25

最終更新日: 2016-10-26

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脳梗塞に対する抗血小板療法は,以前は心原性脳塞栓症,アテローム血栓性脳梗塞,ラクナ梗塞のいずれの臨床病型に対しても,アスピリンが標準薬であった。
日本人の非弁膜症性心房細動患者に対して,アスピリン投与群は非投与群に比して有効性や安全性が認められなかった(JAST研究)。そのほかの臨床試験結果も含めて,心房細動患者や心原性脳塞栓症既往患者への抗血小板療法は,「脳卒中治療ガイドライン2009」や「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」では推奨されていない。
非心原性脳梗塞に対して,急性期治療や慢性期再発予防にも用いうる内服薬はその幅が広がり,アスピリン,チクロピジン,クロピドグレル,シロスタゾールが選択肢となり,使いわけが可能になった。アスピリンは有効かつ安価である反面,消化管出血や脳出血も少なくないため留意を要する。クロピドグレルは脳梗塞のほかに,虚血性心疾患や末梢動脈疾患に対しても適応を有している。シロスタゾールはアスピリンより出血が少なかった(CSPS 2)ことより,高血圧性脳出血と同様の病態であるラクナ梗塞では考慮しやすい。最終的には,胃腸症状や頻脈の有無など,患者の併存症や年齢などを考慮して決めていくことになる。
脳梗塞急性期に期間を限った2種類の抗血小板薬併用療法(DAPT)の有効性が注目されている。長期DAPT療法は単剤より出血イベントを増す(BAT研究)ことが示されており,症例選択や投与期間など,今後の検討課題である。

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