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糖尿病性認知症の特徴

No.4764 (2015年08月15日発行) P.53

深澤雷太 (東京医科大学高齢総合医学)

羽生春夫 (東京医科大学高齢総合医学主任教授)

登録日: 2015-08-15

最終更新日: 2016-10-26

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糖尿病を伴う認知症の臨床病理像は多様であるが,脳血管性病変に乏しく,アルツハイマー病(AD)としての特徴的な臨床像を示さない一群が観察されることがある。筆者らは,このような一群を「糖尿病性認知症」として分類することを提唱している(文献1)。
糖尿病性認知症では,(1)高齢,(2)HbA1c高値,(3)長期の糖尿病の罹病期間,(4)インスリン治療例が多い,(5)全般的な脳萎縮はみられるが海馬の萎縮が軽度,(6)ApoE4保有者が少ない,(7)注意力の障害が目立つが遅延再生の障害が軽度,(8)認知症の進行がゆるやか,などADとは異なる特徴を有する。
本症では,脳血流SPECTではADのパターンを示さず,PiB-PET(アミロイド画像)においてもアミロイドの集積が陰性のものや,わずかな集積のみを認めるものが多くを占めており(文献2),このような画像検査からも,ADとは異なる背景病理が推測される。また,本症の病態には,炎症や酸化ストレスとの関連が示唆されている。
糖尿病との関連が深く,ADや血管性認知症とは異なる臨床像を有する一群に対して,「糖尿病性認知症」という新たな臨床単位を提唱することで,ADとは異なる治療やケアが考慮されるべきである。

【文献】


1) Fukasawa R, et al:Dement Geriatr Cogn Disord. 2013;35(5-6):280-90.
2) Fukasawa R, et al:J Neurol Sci. 2015;349(1-2):45-51.

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