株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

持続性心房細動に対するアブレーション治療

No.4769 (2015年09月19日発行) P.55

中野由紀子 (広島大学病院循環器内科講師)

登録日: 2015-09-19

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

心房細動の治療はかつて薬物療法が中心であった。心房細動の発症機序として,1998年にHaissaguerreら(文献1)は心房細動のトリガーとなる心房性期外収縮の80%以上が肺静脈内の心筋から発生することを報告し,心房細動に対する高周波カテーテルアブレーション治療の標的が明確にされた。現在では,両側の上下肺静脈を接合部左房も含め同時に隔離する拡大肺静脈隔離法は,有効性の高い治療として認知され,普及している。
従来のガイドラインでは,心房細動のカテーテルアブレーションはクラスⅡとされていたが,その有効性や安全性が向上してきたことを受けて,2011年の日本のガイドラインでも,高度の左房拡大や高度の左室機能低下を認めない薬物治療抵抗性の有症候性の発作性心房細動で,クラスⅠの適応とされている(文献2)。
長期持続性心房細動の中には,拡大肺静脈隔離法だけでは洞調律維持が困難な症例もあり,変性した左房筋を中心とした器質を修飾すべく様々な方法が行われているが,持続のメカニズムが十分に解明されておらず,一定の見解が得られていない。最近,Vermaら(文献3)は,付加的アブレーションを行っても拡大肺静脈隔離術のみと洞調律維持率には差がないことを報告した。持続性心房細動のアブレーション治療方法については,今後も検討が必要である。

【文献】


1) Haissaguerre M, et al:N Engl J Med. 1998;339(10):659-66.
2) 奥村 謙, 他:カテーテルアブレーションの適応と手技に関するガイドライン. 日本循環器学会, 他, 編.2012.
3) Verma A, et al:N Engl J Med. 2015;372(19):1812-22.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top