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ここまできた大腸癌化学療法

No.4775 (2015年10月31日発行) P.56

松橋延壽 (岐阜大学がん先端医療開発学特任准教授)

吉田和弘 (岐阜大学腫瘍外科教授)

登録日: 2015-10-31

最終更新日: 2016-10-26

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切除不能大腸癌に対して,1990年代までは5-
FU/LEV(レバミゾール)療法が標準化学療法とされ,全生存期間は6~8カ月であった。しかし,イリノテカン塩酸塩(CPT-11),オキサリプラチン(L-OHP),さらには分子標的治療薬の登場により,状況は大きく変化した。
CRYSTAL trialおよびPRIME studyでは,全生存期間が30カ月に到達するまでになった。2013年にわが国から,TS-1+L-OHP+ベバシズマブ(Bmab)(SOX)療法とFOLFOX+Bmab療法との非劣性が証明され,5-FU/LV(ロイコボリン)持続点滴静注の代替として経口薬であるTS-1の可能性が示唆された。今後はレゴラフェニブ,TAS-102が登場し,さらなる予後の延長が期待される。
一方で,薬剤有害事象を防ぐことは,患者のQOLにおいて非常に重要である。特に抗EGFR抗体薬におけるざ瘡様皮疹は,顔や前胸部に多く出現するため,治療を行う上で重要である。STEPP試験,さらには,わが国においてJ-STEPP試験が行われ,支持療法の有効性が重要であることが証明された。当科では,栄養補助食品であるカルシウムHMB・L-グルタミン・L-アルギニン・クエン酸配合飲料を服用することで,皮膚障害を軽減できることを示した(文献1)。
今後,各種薬剤においてさらなる全生存期間の延長が期待されるが,それに合わせて有害事象マネジメントの面でも新しいエビデンスが報告されることが期待される。

【文献】


1) Matsuhashi N, et al:Int J Colorectal Dis. 2015 Sep 16. [Epub ahead of print]

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