株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

メッケル憩室・大腸憩室[私の治療]

No.5240 (2024年09月28日発行) P.45

眞部紀明 (川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波)教室教授)

小西貴子 (川崎医科大学総合外科学/検査診断学(内視鏡・超音波)教室)

藤田 穰 (川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波)教室准教授)

登録日: 2024-10-01

最終更新日: 2024-09-24

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • ❶メッケル憩室

    メッケル憩室は胎生期の卵黄腸管の遺残した真性憩室であり,有病率は全人口の約2%とされ,男性に多い。通常,バウヒン弁から口側100cm以内の腸間膜付着部反対側に存在し,約25%に異所性組織の迷入を認める。メッケル憩室の多くは無症候性であるが,異所性胃粘膜からの出血,憩室を先進部とする腸重積や腸閉塞,憩室炎などを引き起こすことがある1)

    ▶診断のポイント

    上・下部消化管内視鏡を行っても原因不明の下血や腹部症状を呈している場合,成人例であってもメッケル憩室を鑑別疾患に挙げることが重要である。メッケル憩室の診断には,一般的に腹部CT,小腸内視鏡,99mTc-シンチグラフィーなどが有用とされる。他方,小腸カプセル内視鏡での検出率は低いとされており注意が必要である。疑った際には,複数のモダリティを組み合わせて診断することが肝要である1)

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    無症状の場合は経過観察となる。なお,他の理由で行われた手術の際にメッケル憩室が発見された場合には,将来的な合併症を防ぐために切除されることもある。少量の出血であれば酸分泌抑制薬を投与する場合もあるが,原則的に憩室出血や憩室炎を発症した場合は,切除術が考慮される。

    ▶治療の実際

    症候性メッケル憩室の場合,外科的切除が第一選択となる。近年は技術の進歩により腹腔鏡手術の報告が増えてきている。切除範囲は,①憩室切除,②楔状切除,③小腸部分切除などが選択肢に挙がるが,症状の原因となる異所性組織を残さないことが重要である2)

    ▶専門家へのコンサルト

    上・下部消化管内視鏡を行っても原因不明の下血や腹部症状を呈している場合には,上記の検査法を行える施設へのコンサルトが望ましい。

    残り1,474文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top