消化管粘膜下腫瘍は,日常臨床で比較的よく遭遇する疾患である。その定義は,粘膜より深部に存在する壁内病変により粘膜が挙上された隆起の総称とされている。腫瘍性病変(間葉系腫瘍,血管原生腫瘍,脂肪性病変,悪性リンパ腫や稀な形態を呈する上皮性腫瘍など)と非腫瘍性病変(異所性膵,囊胞性病変など)にわけられる。その中で,消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)は,消化管に発生する間葉系腫瘍のうち,最も発生頻度の高い腫瘍とされる。GISTは悪性のポテンシャルを有しており,治療ガイドラインもあるため参照されたい1)。
粘膜下腫瘍を認めた場合,診断するためには内視鏡による生検が必須となる。また,腫瘍径が治療方針決定の目安となるため計測を行う。腫瘍径2cm以上,潰瘍形成や増大傾向を認める場合は,CT,超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography:EUS),超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-guided fine needle aspiration:EUS-FNA)による精査・診断を行う。診断には病理学的な免疫染色が有効で,KIT,DOG1,desmin,S-100,CD34,β-cateninなどの染色を行い,確定診断をする。GISTの診断となった場合,ガイドラインではPET-CTによる精査も弱く推奨されている。
GIST以外で頻度が高いものとしては,神経鞘腫,平滑筋腫,血管腫などが挙げられる。これらは基本的には良性であるため経過観察可能であるが,増大傾向を伴う場合は外科的切除を考慮する。
転移を認めない切除可能な限局性GISTの場合,通常は外科的切除を行う。腫瘍のサイズや解剖学的位置などに応じて,治療方針や手術の方法が異なる可能性がある。切除不能・転移・再発GISTに対しては,チロシンキナーゼ阻害薬(tyrosin kinase inhibitor:TKI)を中心に治療を行う。
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