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左心耳機能の新しい指標:左心耳壁運動速度 【左心耳機能評価が左心耳血栓形成のリスク層別化に役立つ】

No.4777 (2015年11月14日発行) P.50

福田幸弘 (広島大学病院循環器内科)

登録日: 2015-11-14

最終更新日: 2016-10-26

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左心耳は血栓の好発部位であり,抗凝固療法を行っていても血栓を形成する症例がある。心原性塞栓のリスク評価には,左心耳機能の評価が重要である。左心耳機能は体積,駆出率,内血流速度,モヤモヤエコーで評価されることが多かった(文献1)。しかし,正確な体積および駆出率の測定はやや煩雑である。内血流速度は,左房状態に影響を受けやすい。モヤモヤエコーは半定量的評価である。
近年,左心耳機能の指標として,組織ドプラ法を用いる左心耳壁運動速度が測定されている。左心耳壁運動速度は比較的簡便な定量指標で,症例によっては経胸壁心エコーでも測定できる(文献2)。左心耳壁運動速度は駆出率や内血流速度と相関するだけでなく,心房細動アブレーション治療後の再発との関連が報告(文献3)されている。加えて,持続性心房細動アブレーション後の左房リバースリモデリングとも関連すると報告(文献4)されている。左心耳壁運動速度は左心耳機能の指標であるだけではなく,左房全体の予備能および復元能と関連しているのかもしれない。
今後,既存の項目や左心耳壁運動速度を組み合わせた左心耳機能評価が,左心耳血栓形成のリスク層別化に役立つものと思われる。

【文献】


1) Beigel R, et al:JACC Cardiovasc Imaging. 2014;7(12):1251-65.
2) Uretsky S, et al:Eur J Echocardiogr. 2009;10(3):363-71.
3) Ariyama M, et al:Echocardiography. 2015;32(2):272-80.
4) Machino-Ohtsuka T, et al:Circ J. 2013;77(7):1695-704.

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