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眼炎症疾患における診療の進歩  【生物学的製剤が従来の治療で効果がみられなかった疾患に有効な治療になると期待される】

No.4789 (2016年02月06日発行) P.57

鴨居功樹 (東京医科歯科大学眼科講師)

大野京子 (東京医科歯科大学眼科教授)

登録日: 2016-02-06

最終更新日: 2016-10-26

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眼炎症疾患の診療において,近年,その診断技術と治療の進歩が目覚ましい。感染に起因する眼炎症疾患では,最近,眼科領域で多項目PCR解析システムが確立され(文献1),わずか0.1mLの眼内液を採取し,multiplex PCRやbroad range PCRでウイルス・細菌・真菌の存在を網羅的に検索することにより,迅速に原因病原体を特定することが可能になった。2014年より先進医療として認可されたことで,感染性眼炎症疾患の診断精度は格段に向上している。
治療では,過去に多くが失明に至っていたベーチェット病を対象として,2007年に眼科領域で初めて生物学的製剤が導入された。インフリキシマブ(マウス抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体)を投与することで,ベーチェット病の眼炎症発作を劇的に抑制することが可能になり,視力予後は大きく改善されている(文献2)。さらに,アダリムマブ(ヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体)においてもその有効性が報告され,現在,非感染性眼炎症疾患を対象に国際共同治験を実施中で,近い将来,眼科領域に導入されると考えられる。
今後,非感染性眼炎症疾患の治療に様々な生物学的製剤の導入が想定され,従来のステロイド,免疫抑制薬で効果がみられなかった疾患において有効な治療法になると期待される。

【文献】


1) Sugita S, et al:Ophthalmology. 2013;120(9):1761-8.
2) Takeuchi M, et al:Ophthalmology. 2014;121(10):1877-84.

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