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夜尿症治療の変遷 【デスモプレシンによる薬物療法かアラーム療法が治療の第一選択】

No.4796 (2016年03月26日発行) P.47

山﨑靖人 (福岡大学筑紫病院小児科)

小川 厚 (福岡大学筑紫病院小児科教授)

登録日: 2016-03-26

最終更新日: 2016-10-26

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一般に夜尿症は,「5歳を過ぎても週に2回以上の頻度で,少なくとも3カ月以上連続して夜間睡眠中の尿失禁を認めるもの」と定義され(文献1),「夜間多尿」,「排尿筋過活動」,「覚醒障害」が原因とされている(文献2)。治療は小学1年生から行うのが一般的である。患児と親は悩んでいることもあり,不安を取り除くことが大切である。
治療は生活指導,薬物療法,アラーム療法を基本とする。まずは生活指導を行い,改善がなければ薬物療法かアラーム療法を行う。わが国の小児腎臓医は病型分類(多尿型,膀胱型,混合型)を用いることが多く,それに従い薬物療法(デスモプレシン,抗コリン薬,三環系抗うつ薬)かアラーム療法を選択している。
一方,国際小児尿禁制学会はデスモプレシンかアラーム療法を推奨している(文献2)。わが国では2012年5月にデスモプレシンの口腔内崩壊錠が発売され,以前の点鼻薬より簡便で利用しやすくなった。わが国の夜尿症専門医の有志が作成した「初期診療フローチャート」(文献3)は,専門医以外が複雑な病型分類を行わずに治療を開始できるように作成されている。デスモプレシンかアラーム療法を第一選択とし,効果がなければ専門医への紹介を推奨している。
最近は夜尿症と便秘の関連性や夜尿症児の睡眠が浅いという報告が散見される。睡眠障害に対する漢方薬が夜尿症に有効であるとの報告(文献4)もある。

【文献】


1) 金子一成:小児腎臓病学. 日本小児腎臓病学会, 編. 診断と治療社, 2012, p375-80.
2) Neveus T, et al:J Urol. 2010;183(2):441-7.
3) 大友義之:小児科. 2015;56(1):67-72.
4) Ohtomo Y, et al:Pediatr Int. 2013;55(6):737-40.

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