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チャンス血尿(無症候性顕微鏡的血尿)の取扱い方:性差の視点も入れて 【尿路上皮癌のハイリスク患者には注意が必要】

No.4798 (2016年04月09日発行) P.55

佐藤眞理子 (東京女子医科大学東医療センター 性差医療部)

登録日: 2016-04-09

最終更新日: 2016-10-26

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女性では,尿潜血の陽性率は男性よりも高いが,尿路上皮癌の頻度は男性ほど高くない。血尿の原因疾患として重要なのは尿路上皮癌と腎炎であるが,誰をどこまで精査するかは悩ましい。
試験紙法による尿潜血は,血尿以外にヘモグロビン尿・ミオグロビン尿・サリチル酸などでも陽性となるため,『血尿診断ガイドライン2013』(文献1)では「血尿は尿中赤血球数20個/μL以上,尿沈渣5個/HPF以上」と定義されている。さらに同ガイドラインで「チャンス血尿(健診などで偶然発見された無症候性顕微鏡的血尿)例では,再検査で血尿を認めない例,尿沈渣に赤血球が存在しない例には,泌尿器科的精密検査を推奨しない」とし,一方「再検査をして血尿を認めた例,尿沈渣中に赤血球が存在する例には,尿路悪性腫瘍などの泌尿器科的疾患を除外するために精密検査(腎臓膀胱超音波検査・尿細胞診)を推奨する」としている。
特に尿路上皮癌の高リスクファクターとして,40歳以上の男性,喫煙歴,化学薬品曝露,肉眼的血尿,泌尿器系疾患の既往,排尿刺激症状,尿路感染の既往,鎮痛薬多用,骨盤放射線照射既往,シクロホスファミドの治療歴が要注意であり,さらに膀胱鏡なども検討する。血尿の患者はその経過中に10%が蛋白陽性となることから,蛋白陽性・変形赤血球・腎機能低下などがあれば,腎臓内科医への紹介を推奨している。詳細は下記ガイドラインを参照頂きたい。

【文献】


1) 血尿診断ガイドライン編集委員会, 編:血尿診断ガイドライン2013. ライフサイエンス出版, 2013.

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