低ホスファターゼ症(HPP)は,組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNSALP)の欠損により引き起こされる骨系統疾患で,骨の低石灰化,くる病様変化,血清ALP値の低下を特徴とする。周産期重症型の1年死亡率はほぼ100%,乳児型は約50%とされる。最近,酵素補充療法が開発され,11例の周産期重症型または乳児型HPP患者に対する酵素補充療法(皮下投与)により,くる病様所見,呼吸機能,運動機能の改善が認められた(文献1)。日本では2015年7月にHPPの治療薬として承認された。さらに,周産期重症型と乳児型のHPP37例の酵素補充療法の長期効果が検討され,5年生存率,人工換気施行症例の生存率は大幅に改善した(文献2)。
X染色体優性低リン血症性くる病・骨軟化症(X
LH)は腎尿細管リン排泄の増加,低リン血症,血清1,25水酸化ビタミンD濃度の比較的低値,FGF23濃度の高値,骨痛,成長障害などを特徴とする。XLHに対する抗FGF23中和抗体が開発され,38例の成人XLH患者への単回注射によって上記検査値の改善を認めた(文献3)。さらに,28例の成人XLH患者に対する4週ごとの皮下注射の検討においても,腎尿細管リン排泄,低リン血症,血清1,25水酸化ビタミンD濃度の改善を認めた(文献4)。現在,第3相試験が行われている。
1) Whyte MP, et al:N Engl J Med. 2012;366(10):904-13.
2) Whyte MP, et al:J Clin Endocrinol Metab. 2016;101(1):334-42.
3) Carpenter TO, et al:J Clin Invest. 2014;124(4):1587-97.
4) Imel EA, et al:J Clin Endocrinol Metab. 2015;100(7):2565-73.