IL-33はIL-1ファミリーに属する18kDaの分泌型サイトカインであり,その受容体は,肥満細胞やTh2細胞上の表面マーカーとしても知られる膜貫通型蛋白質のST2Lである。ST2はTh2細胞とアレルギー性炎症のeffector細胞である好塩基球,マスト細胞,好酸球(文献1)上に発現することから, IL-33はTh2型のアレルギー性気道炎症を病態とする気管支喘息に関与している。事実,気管支喘息患者のST2とIL-33の遺伝子領域に喘息罹患感受性と末梢血好酸球数と相関のある遺伝子多型が存在することがSNP解析で明らかにされ,IL-33が気管支喘息の発症や増悪における重要な役割を果たしていると考えられている(文献2)。
IL-33は気道上皮細胞や血管内皮細胞の核内に局在し,組織傷害によって細胞外に放出される。この放出されたIL-33は気道系に存在する上記のeffector細胞を刺激するほか,グループ2自然リンパ球(ILC2)を刺激することによって,抗原の関与なしにTh2サイトカイン産生を誘導する自然型アレルギーにも関与している(文献3)。一方,IL-33は抗原とともにTh2細胞を刺激してIL-5/IL-13産生を増強し,獲得型アレルギーの発症や増強にも関与している。以上のようなアレルギー性気道炎症におけるIL-33の役割から,気管支喘息の新たな治療標的として期待されている。
1) Smithgall MD, et al:Int Immunol. 2008;20(8):1019-30.
2) Gudbjartsson DF, et al:Nat Genet. 2009;41(3):342-7.
3) Bartemes KR, et al:J Allergy Clin Immunol. 2014;134(3):671-8.