代謝疾患の診断としては,2011年の厚生労働省の通達により,全国でタンデムマスの導入により19疾患以上の代謝疾患の代謝異常症の診断・治療が可能になっている。現在,治療可能となったライソゾーム病や免疫不全症などに拡大するための研究が進んでいる。
ライソゾーム病に対しては1994年に認可されたゴーシェ病に対するセレデースに始まり,現在ゴーシェ病,ファブリー病,ポンペ病,ムコ多糖症Ⅰ型,Ⅱ型,Ⅵ型,Ⅳ型に対する静注用の製剤が販売されており,さらにウォルマン病,ニーマン・ピック病A/B型に対する治験が検討されている。新たな動きとしてはポンペ病に対する酵素として,新たな修飾酵素の治験が検討されており,ライソゾーム病以外にも低ホスファターゼ血症の治験が進行している。
また,造血幹細胞移植療法がライソゾーム病,副腎白質ジストロフィーに対して行われてきたが,日本における症例のまとめが報告(文献1)されたため,今後のガイドライン策定などにつながると考えられる。
低分子治療薬として基質合成抑制療法としての,ニーマン・ピック病C型に対するブレーザベスR,ゴーシェ病に対するサデルガRが認可された。また,ファブリー病に対するシャペロン薬としてのmigalastatが現在,世界治験中であり,今後,注目されると考えられる。
1) Kato S, et al:Pediatr Transplant. 2016;20(2):203-14.