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先天代謝異常疾患診療に関する最近の展望 【酵素補充療法,造血幹細胞移植療法,低分子治療薬がライソゾーム病の治療を変革】

No.4812 (2016年07月16日発行) P.56

酒井規夫 (大阪大学保健学専攻教授)

大薗恵一 (大阪大学小児科教授)

登録日: 2016-07-16

最終更新日: 2016-10-29

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代謝疾患の診断としては,2011年の厚生労働省の通達により,全国でタンデムマスの導入により19疾患以上の代謝疾患の代謝異常症の診断・治療が可能になっている。現在,治療可能となったライソゾーム病や免疫不全症などに拡大するための研究が進んでいる。
ライソゾーム病に対しては1994年に認可されたゴーシェ病に対するセレデースに始まり,現在ゴーシェ病,ファブリー病,ポンペ病,ムコ多糖症Ⅰ型,Ⅱ型,Ⅵ型,Ⅳ型に対する静注用の製剤が販売されており,さらにウォルマン病,ニーマン・ピック病A/B型に対する治験が検討されている。新たな動きとしてはポンペ病に対する酵素として,新たな修飾酵素の治験が検討されており,ライソゾーム病以外にも低ホスファターゼ血症の治験が進行している。
また,造血幹細胞移植療法がライソゾーム病,副腎白質ジストロフィーに対して行われてきたが,日本における症例のまとめが報告(文献1)されたため,今後のガイドライン策定などにつながると考えられる。
低分子治療薬として基質合成抑制療法としての,ニーマン・ピック病C型に対するブレーザベスR,ゴーシェ病に対するサデルガRが認可された。また,ファブリー病に対するシャペロン薬としてのmigalastatが現在,世界治験中であり,今後,注目されると考えられる。

【文献】


1) Kato S, et al:Pediatr Transplant. 2016;20(2):203-14.

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