【概要】循環器病の診療提供体制を構築するために6月に設置された厚生労働省の「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」に、心血管疾患と脳卒中のワーキンググループ(WG)が立ち上がった。次期医療計画に反映するため10月に中間取りまとめを行う。
17日の「心血管疾患に係るWG」(座長=永井良三自治医大学長)、翌18日の「脳卒中に係るWG」(座長=小川彰岩手医大理事長)の初会合では、厚労省が急性期の診療提供体制として、医療機関を「初期対応施設」「専門的医療施設」「高度専門的医療施設」に分類し、治療適応に応じて連携するイメージを提示した(表、図)。
●脳卒中WG─tPA療法の普及で認識一致
脳卒中WGでは、血栓溶解(tPA)療法を普及させるため、厚労省が同日提示した実施施設の要件案を緩和すべきとの認識で一致した。厚労省はtPA療法を24時間体制で実施する専門的医療施設について、脳卒中診療に従事する医師(脳卒中医、神経内科医、脳神経外科医等)の在籍を要件とすることを提案。
羽鳥裕構成員(日本医師会)は「脳卒中医でなくてもtPA療法を施行できるように要件を緩和すべきではないか」と指摘し、長谷川泰弘構成員(聖マリアンナ医大)も「かかりつけ医をまず受診している患者が多い状況を鑑みれば、(要件を緩和して)tPA療法を普及させるべき」と賛同した。
●心血管疾患WG─高度専門的医療施設がない県も
心血管疾患WGでは、厚労省が高度専門的医療施設の要件として「特定集中治療室」「心臓内科系集中治療室」「ハイブリッド手術室」などを有する案を提示。
小川久雄構成員(国立循環器病研究センター)は要件を満たす施設が存在しない県があることから要件緩和を要請し、他の構成員も「心血管疾患は患者数の季節変動が大きいので、厳しくしないほうがいい」(今村知明構成員・奈良県立医大)などと賛同。厚労省は「イメージしているのはがん診療提供体制。要件を原則か必須にするかは今後の議論」との考えを示した。