所長を務める神奈川県立精神医療センターは、思春期病棟、ストレスケア病棟、医療観察法病棟などを持つ精神科専門医療の中核であり、薬物依存症治療の集団療法「SMARPP」発祥の地でもある。岩井さんが目指す方向性は「オールラウンド」の精神科専門医療。現在は民間病院に任せているが、認知症への対応についても「神経科学の進展を踏まえ、予防と早期治療に注力した医療を提供したい」とし、将来的には研究所を併設した「精神・神経センター」に発展させたいとの展望を語る。
所長就任前は一貫して双極性障害や統合失調症などの長期経過の研究に従事。常に変化する病像に着目する重要性を熟知する。所長という立場上、患者は受け持たないが、1日1回は病棟を歩き患者と会話を交わす。「エビデンスに基づいたガイドラインが整備されても、何より大事なのは実際に患者を診ること。スタッフにも常々『電子カルテより患者の顔を見るように』と言っています」
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