地域で予防接種推進のため多職種で活動する「彩の国予防接種推進協議会」会長を務める。同協議会は講演会やワークショップ、ホームページを通じた情報提供などの活動を埼玉県内で展開。小児科医をはじめ産婦人科、内科、耳鼻科の医師や保健師、助産師、看護師などが多数参加する。
日本小児科医会を通じ関連学会などで作る予防接種推進専門協議会に参加するうちに、地元で草の根の活動が必要と考え、2010年に彩の国予防接種推進協議会を設立。講演会は関連企業からバックアップを受けずに参加費で運営しており、企業も一参加者として費用を払い、勉強する場になっている。来年1月の講演会では近年のワクチン不足を取り上げる予定だ。最近は同様の会を地元に作りたいと他県から相談を受けることも増えた。
繰り返す麻疹の流行に問題意識を持ち、重症麻疹患者調査を1998年から小児科医会で開始したことが予防接種の活動に取り組むきっかけとなった。当時は重症麻疹の転帰に関するデータがなかったために深刻な病気ではないと捉えられていたが、初年度の調査の結果から全国では年間1万人以上が入院し、20〜30人が死亡すると推測されることを明らかにした。大阪や千葉で流行が発生した今年は、講演や論文を通じて若い医師にかつての麻疹流行の教訓を伝える役割も果たす。
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