IgG4関連疾患は多岐にわたる既存の疾患を含む複合病態である
簡易で有用な包括診断基準が作成されている
臓器病変,血清IgG4値,組織中IgG4/IgG陽性細胞比の3項目が重要
臓器別IgG4関連疾患診断基準との組み合わせで診断する
IgG4関連疾患(IgG4-related disease;IgG4-RD)は21世紀に日本で生まれた新たな疾患概念で,今や世界の注目を浴びている。この疾患概念を周知するため,「IgG4関連疾患診断基準」の早期作成が急務とされていた。IgG4関連疾患は自己免疫性膵炎(AIP)1)~4),Mikulicz病5)6),Riedel甲状腺炎7),Küttner腫瘍7)8),後腹膜線維症9)10),炎症性偽腫瘍11),間質性腎炎12)13),間質性肺炎14)15)など,多岐にわたる疾患を含む複合病態である(図1)16)。しかも,Sjögren症候群やアレルギー性肉芽腫性血管炎などの自己免疫性疾患やCastleman病,悪性リンパ腫など既存の疾患との鑑別が難しく,すべての症例を診断しうる診断基準の作成は困難と思われた。そして,厚生労働省IgG4関連疾患研究班(2009〜11年,梅原班・岡崎班)の代表者による診断基準作成のためのワーキンググループが組織され,①領域の専門医以外の臨床医でも使用できる,②既に存在する臓器別の診断基準と整合性を持たせる,③できる限り簡潔化する,④悪性腫瘍を除外するために病理組織所見を重視する,⑤ステロイドが著効するが,その診断的治療は含めない,という統一見解のもとに,「IgG4関連疾患包括診断基準2011」〔Comprehensive diagnostic criteria for IgG4-related disease(IgG4-RD),2011〕(表1)が作成された17)18)。
残り4,863文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する