国立がん研究センターは21日、75歳未満年齢調整死亡率の減少率が2005~15年の10年間で15.6%にとどまったことを厚生労働省のがん対策推進協議会に報告した。現行の第2期がん対策推進基本計画で目標値に掲げていた20%を下回った。
報告によると、75歳未満年齢調整死亡率は2005年の人口10万人対92.4から2015年には78.0に減少。国がんは2015年の数値を76.7と予測していたが、実際の死亡率はそれより高かった。
がん対策推進基本計画が始まった2005年前後の傾向を部位別に比較すると、子宮頸がんは増加が加速し、大腸がん、肺がんは減少が鈍化した。一方、減少が加速したのは肝臓がんで、女性の乳がんは増加傾向が横ばいになった。胃がんはほぼ同じペースで減少していた。この理由について国がんは、C型肝炎ウイルスやヘリコバクターピロリ菌の感染率が世代的に減少している影響を指摘。女性の乳がんは「がん検診の普及や治療効果向上の効果であると推察できる」と分析している。
21日の協議会では次期がん対策推進基本計画の全体目標について、現行の「がんによる死亡者の減少」など3項目に加え、新たに「がんになる国民を減らす(仮)」との項目を設けることを厚労省が提案した。
このほか、9日に成立した改正がん対策基本法の概要が報告。同法には難治性がん・希少がんの研究促進や患者の就労支援が盛り込まれた。