HPVワクチンの接種歴がない者でも、接種後に報告されている症状と同様の症状を呈する者が一定数存在するとの疫学調査の結果を厚労省研究班(代表者=祖父江友孝阪大教授)が12月26日、厚労省の有識者会議に報告した。
調査は全国の病院を対象に、2015年7月1日からの6カ月間について①疼痛や運動障害などの症状が少なくとも1つ以上ある、②症状が3カ月以上持続している、③通学・就労に影響がある─などの症例基準に該当する患者の受診の有無を尋ね、患者がいる場合は接種歴や症状などについて回答を求めた。
その結果、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の症状を呈する者は、12〜18歳女子全体で人口10万人当たり40.3人(把握できている傷病名で主治医が症状を「説明できない」としたものに限ると10.5人)、12〜18歳男子全体で20.2人(同2.0人)と推計された。接種歴がない12〜18歳女子に限ると同様の症状がある者は、接種歴のない人口10万人当たり20.4人(同2.8人)と推計。接種歴不明の者もすべて「接種歴なし」に含めた場合は46.2人(同5.1人)と推計された。研究班は、接種歴の有無で症状の頻度を比較することは母集団の年齢構成の違いや多数のバイアスにより不可能としている。
会合では、発症までの期間や症状と年齢の関係などの分析を求める意見が委員から上がった。有識者会議は追加の解析を基に引き続き議論を行う予定。