私は大学病院の総合診療科で働く医師で、現在はICUでの診療を中心としながら、救急外来と総合内科外来も週2回行っております。今回は、救急外来や総合内科外来で多く遭遇し、先生方にご助力頂くことも多いパニック障害について、総合診療科での診療の実状をお伝えします。
パニック障害の患者は、動悸や呼吸困難感、頭痛、めまい、喉の違和感、心窩部痛など様々な症状を訴えてやって来ますが、それらの症状が非常に強いことが特徴です。救急外来には、症状が辛くて救急車でやってきたり、総合内科外来にも紹介状もなしに飛び込みでやってくることがしばしばあります。
問診では、失神歴や以前にも同様の症状がなかったか、喫煙など心血管イベントを起こすものがないか、薬やアルコール、カフェインの影響がないかを確認します。身体所見では、甲状腺が腫れていないかを触診したり、心音を聴診したりします。また、高血圧などを疑う所見があれば褐色細胞腫の可能性を考えて尿中カテコラミンを検査することもありますが、稀な病気のためか、パニック発作を疑って検査をしたら褐色細胞腫だったということはまだ一度もありません。その代わり、パニック発作だと思ったら、実は食後の反応性低血糖だったという経験はあります。それ以来、炭水化物を多くとったり、早食いをした後に動悸が起こっていないかを確認するようにしています。
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