(質問者:福島県 E)
小児のプライマリケアでは,腹痛に対して初めに行われる処置の多くは浣腸です1)2)。反応便を観察すれば消化管内部の状況がわかりますし,便秘症であれば浣腸によって腹痛が消失するので診断的治療になります。
ただし,腹膜炎,消化管穿孔,腹部外傷では浣腸は禁忌とされており,注意が必要です2)。禁忌がなければ,ご質問の「0~5歳頃までの小児に浣腸は行ってもよいか」へのお答えは「可」となります。50%グリセリン浣腸液の使用量は1mL/kg/回を目安にされるとよいでしょう。
子どもの便秘診療のポイントは,①器質病変の鑑別,②大半は器質病変を有さない機能性便秘,③便塞栓(fecal impaction)では便塊除去(disimpaction)を行う,④一部の機能性便秘は精神疾患と関連し,心理社会的アプローチを要する,です3)。詳細は文献3)をご参照下さい。
【文献】
1) 笠井正志, 他, 編著:HAPPY! こどものみかた. 第2版. 日本医事新報社, 2016, p120.
2) 加藤英治:症状でみる子どものプライマリ・ケア. 医学書院, 2010, p110.
3) 土肥直樹:JIM. 2014;24(4):334-6.
【回答者】
土肥直樹 相模原市国民健康保険内郷診療所所長