厚生労働省は23日、ギリアド・サイエンシズ社が販売するC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品が東京都の卸売販売業者2カ所から新たに9ボトルが見つかったと発表した。患者には渡っていない。
ハーボニーの偽造品は今月17日に明らかになったもの。株式会社関西メディコが奈良県と京都府で展開する調剤薬局チェーン「サン薬局」の3店舗から計5ボトルが見つかった。医薬品販売の許可権限は都道府県にあるため、厚労省は流通経路をさかのぼり、関係自治体(東京都、大阪府、奈良県、奈良市)に対して、関西メディコとその購入元に対する立ち入り調査を要請。その結果、都内2カ所の卸からそれぞれ偽造品6ボトルと3ボトルが見つかった。偽造品の錠剤は奈良県で見つかった偽造品(写真)と同様の特徴があるという。
23日に会見した厚労省によると、正規品はシールにより封緘された箱に入った状態で流通しているが、これまで見つかっている偽造品はすべて箱から取り出された裸のボトル状態で流通しており、添付文書も添付されていない。
偽造品の流通経路に関与していたことが現時点で明らかとなっている卸売販売業者は9社(東京都8社、大阪府1社)。この中にギリアド社の正規卸は含まれていない。9社のうち3社(いずれも東京都)はハーボニーの購入元が不明。厚労省は、医薬品販売の許可を得ていない個人から購入していた可能性が高いとみている。医薬品販売の許可を得ていない個人から医薬品を購入することは「本来ありえない」(厚労省医薬・生活衛生局総務課)ことで、添付文書がない状態で流通していたことについても「法令違反上のポイント」(同監視指導・麻薬対策課)であることから、厚労省は今後の調査を踏まえ、法令違反の可能性を精査するとしている。また、ギリアド社も現在、刑事告訴の準備を進めている。
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